6週間の期間で、6名の学生で制作
あらすじ
薄暗いコンテナに揺られていた。それはまるで動く牢獄だ。
すぐ目の前には丸いロボットが転がっていて、どうやらこちらを見つめている。
私に何か言いたげなそのロボットを拾い抱えてみると、刹那、ロボットから真っ赤な閃光が放たれた!
気が付けば壁にぽっかり穴が空いていた。ロボットを腕に私の足は外へと向かう。
脱出だ。
My Role
Direction (Co-directed by 2 members)
Story
Modeling (Spherical Robot)
Environment Texturing
Layout (Camera & Lighting)
Visual Effects
Editing / Compositing / Sound Effects
Direction
Co-director: Takuto Ito, Ryusei Yamada
Animatic ↑
シーンによって監督の担当を分け、
カット割りや細かな展開を決定していった。
私はオレンジ色のキャプションが入っているシーンを担当。
主にMiroを活用して、
チームでの情報やリファレンスの共有を行った。
ほかメンバーへのディレクションもここで行っている。
↓
Modeling
Maya & Substance 3D Painter
球体ロボットのモデリングを担当。
目だけのロボットという設定のため、手足や口を通じて感情を伝えることができなかった。
そのため、目を外側と内側の2パーツに分けて動かせるようにし、また側面に出し入れ可能なモジュールを配置することで、少しでも感情表現の幅が広がるようにした。
Terrain
Houdini & Substance 3D Painter
HoudiniのHeight Fieldで地形を作成。
9枚のUVからなるUDIMを使用。
Houdiniで生成した7種類のマスク情報をSubstance 3D Painterにもっていくことで、複雑なテクスチャを作り出すことができた。
Camera
Houdini
カメラは13mmから135mmまでを使用し、各シーンにおいて広角と望遠レンズがそれぞれどのような効果を生み出すかを吟味した。レンズ選びには苦手意識があったのだが、今回を経て、その楽しさが少し分かるようになった。
ところどころにあえて外した構図を採用し、そこに生じる余白がどのような情緒を生み出し、またどのような印象を与えるのかを試してみた。
また手ブレを積極的に採用し、さらに主人公の体重に応じてカメラに振動を加える試みも行い、CG映像におけるリアリティを探求した。
今回の作品は、私にとってカメラの実験の場であった。それは次の作品にも続いていくだろう。
Lighting
Houdini
カメラと同様、ライティングにも力を入れた。
いくつものライトをこねくり回し、一番美しいと思えた結果を採用するというプロセスを、すべてのカットで行った。
草原のシーンでは、寒色の空に対し暖色のライトを使い、夜明けの冷たさと太陽の温かさが混ざり合う、幻想的な空気が感じられるようにした。
Visual Effects
Houdini
草原のシミュレーション
HoudiniのVellumを使ったヘアーシミュレーションに、Point Deformで簡易的な草のモデルを適用することで、風やコリジョンに反応する草原を作ることができた。
また、草の密度をペイントブラシで調整することで、カメラから離れた場所ではシミュレーションを軽くし、また岩などのオブジェクトに草がめり込むことを防止した。
破壊されたコンテナの扉
HoudiniのRBDを使用し、鉄の扉が一点の圧力から破壊された様子をシミュレーションした。ガラスの破壊とは違う、金属特有の柔らかさや粘り気を表現することに時間を要した。
Pyroを使ったレーザー
レーザーの芯の部分は、5本の細長い円柱ボリュームを束にして作成し、周囲の煙はHoudiniのPyroを使った流体シミュレーションで作っている。
リミナルスペースやレトロフューチャーに影響を受け、巨大なプロップが散らばった世界を設定した。自然美の中に無秩序に現れる巨大おもちゃや日用品。そこから立ち上る違和感と、可愛げ、またどこか懐かしさを感じるような、そんな感覚を大切にした。そして、その世界には様々な形をしたロボットたちが暮らしていて、彼らもまた世界の一部である。
作品作りとは、新しいものへの挑戦の連続だ。
チーム制作は私にとって初めての経験であった。
またそのためのワークフローに即した制作も初めてであったし、自分と人の頭の中を共有し、世界観を構築していったのも初めての経験だ。また広角レンズと望遠レンズを意識的に使い分けたのも初めてで、ライトの重要さとその力に気付いたのもこの作品があったからだ。さらに細かいことまで言えば、草原を生やしたことはなかったし、鉄扉を破壊したこともなかったし、ましてやレーザーを放ったのもこれが初めてである。
ひとつものを作れば、そこからは確かに知恵と知識が得られ、それは次へと活かされていくはずである。しかし作品を作るたびに思うのは、どれだけやっても知らないことだらけ!ということだ。そこには常に新しいものがあって、作品完成のためにはチュートリアル動画を奔走し続けなくてはならない。まったく海外YouTuberの方々へは感謝しかない。
そうしてやっとのことで出来上がった作品からは巨大な経験値が得られ、それを意気揚々と装備した自信たっぷりの勇者は、また次の作品で己の非力さに打ちひしがれるのだ。
新しく何かを作り始めるたびに未知に取り囲まれ、そいつらを淘汰し続けていけば、いつかは自分の頭の中を何の苦も無く顕現させられるようになるのかとも思うが、きっとそうはならないのだろう。なんていったって、その未知は私の興味が新しい領域に向かっているから現れるのであって、そして私は私の興味をコントロールする術を知らないのだ。未知が尽きることはない。
私だって確かに成長しているが、私の興味はそれをはるかに上回る速度ですくすく育つ。この作品を通して、私はチーム制作の経験や、実験的なカメラの試行から得られた印象、HoudiniにおけるVFXの知識などをついに装備した。しかし私の興味はすでに新たな地平へ走り出していて、次の作品の土台を勝手に作り上げている。まったく困ったものである。
私は私の興味がおっしゃるままにまた作品を作り、そして少しばかり経験を獲得し、また別のところで大きく膨れた興味に呆れながらもついていくのだろう。私はそれが楽しくて仕方がない。
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